「通信制高校 スクーリングなし」で検索すると、「スクーリングが少ない学校まとめ」がたくさん出てきます。
でも、その前に知っておいてほしいことがあります。スクーリングをゼロにできる通信制高校は、日本に1校もありません。法律(学習指導要領)で、最低限の時間数が決まっているからです。
この記事では、その「最低限」が具体的に何時間なのかを法律の数字で示し、実際にどこまで減らせるのかをお伝えします。
※法令は「文部科学省「高等学校学習指導要領 第1章 総則」(通信制の課程における教育課程の特例)」、N高の日数は「N高等学校 2027年度生徒募集要項」と公式サイト「よくある質問」を2026年9月に確認しました。
子どもが「人と関わりたくない、学校には1回も行きたくない」と言っています。そういう学校はないんでしょうか。
残念ながら、1回も行かずに卒業できる学校はありません。でも、年に数日まで減らせる学校はあります。「ゼロ」ではなく「数日ならどうか」を、お子さんと話してみてください。
- スクーリングなしの通信制高校は存在しません(法律で最低限の時間が決まっています)
- ただしネットや動画の学習で、最大8割まで減らせます
- 実例:N高のネットコースは1年で7〜8日程度
- 「宿泊が無理」なら、会場を変えられる場合があります
\ 「何日なら行けそうか」は、実際の日数を見てから話すほうが早いです /
- スクーリングなし|できない(法律で決まっている)
- 減らせる上限|ネット学習で最大8割
- いちばん減らせない科目|体育(1単位5時間)
- N高の日数|1年7〜8日程度
- 公立の日数|年20〜24日程度
結論|スクーリングなしの通信制高校はありません。理由は法律です
通信制高校の授業は、3つの組み合わせでできています。
| やること | 中身 |
|---|---|
| 添削指導(レポート) | 課題を出して、先生に直してもらう |
| 面接指導(スクーリング) | 学校に行って、先生から直接教わる |
| 試験 | 単位を認定するためのテスト |
このうち面接指導=スクーリングについて、学習指導要領が「1単位あたり何時間」という標準を決めています。
学習指導要領は、全国の高校が守る教育課程の基準です。私立も公立も、通信制高校はすべてこの基準に従います。だから「うちはスクーリングなしです」という高校は、つくれないのです。
法律が決めている「最低限」|1単位あたり1〜5時間
学習指導要領に書かれている標準を、そのままお見せします。1単位時間は50分です。
| 教科・科目 | 添削指導(回) | 面接指導(単位時間) |
|---|---|---|
| 国語・地理歴史・公民・数学 | 3 | 1 |
| 理科 | 3 | 4 |
| 保健体育のうち「体育」 | 1 | 5 |
| 保健体育のうち「保健」 | 3 | 1 |
| 芸術・外国語 | 3 | 4 |
| 家庭・情報・専門教科 | 必要に応じて2〜3 | 必要に応じて2〜8 |
※いずれも「1単位あたり」の標準です。出典:文部科学省「高等学校学習指導要領 第1章 総則」(通信制の課程における教育課程の特例)
たとえば「体育」は、1単位につき5時間の面接指導が標準です。体育は実技なので、ネットだけでは代わりがききません。スクーリングをゼロにできない一番の理由は、体育だと言っていいと思います。
卒業には74単位必要なんですよね。全部スクーリングだと、ものすごい時間になりませんか。
そのままだと、そうなります。ここで効いてくるのが、次の「メディア減免」という仕組みなんです。
ネットの学習で最大8割まで減らせる|「メディア減免」の仕組み
学習指導要領には、スクーリングを減らせる条文があります。
ラジオ放送、テレビ放送その他の多様なメディアを利用して学習し、その成果が満足できると認められるときは、面接指導の時間数のうち、各メディアごとにそれぞれ10分の6以内の時間数を免除することができる。ただし、免除する時間数は、合わせて10分の8を超えることができない。
出典:文部科学省「高等学校学習指導要領 第1章 総則」(通信制の課程における教育課程の特例)(要約)
- 動画やネットの学習で、スクーリングを最大8割まで減らせる
- でも残りの2割は、必ず学校で受ける
- だから「少ない学校」はあっても、「なしの学校」はない
「スクーリングが少ない学校」とは、このメディア減免を最大限に使っている学校のことです。逆に、減免をあまり使わない学校は、年20日以上のスクーリングになります(公立に多い形です)。
実際に何日になる?|N高の場合、1年で7〜8日程度
具体例として、N高の日数を公式の情報で見てみます。
| 学年 | スクーリングの日数(目安) |
|---|---|
| 1年次 | 7〜8日 |
| 2年次 | 本校で4〜5日+全国の会場で4〜5日 |
| 3年次 | 7〜8日 |
出典:N高等学校 2027年度生徒募集要項・公式サイト「よくある質問」(2026年9月確認)。公式の「よくある質問」では「1・3年次7〜8日、2年次8〜10日(期末テスト含む)」とされており、テストの日を含めるかどうかで数え方が変わります。
- 「7〜8日」はテストの日を含めるかどうかで数え方が変わります
- 2年次は本校(沖縄)での宿泊スクーリングを含みます
- コース(週1+・週3・週5)を選ぶと、通う日はもっと増えます
1年で7〜8日。1か月に1日もない計算です。これが、メディア減免を最大限に使った場合の「最少」に近い姿です。
公立の通信制高校では、年20〜24日・原則として土曜日というのが一般的な形です。「スクーリングの少なさ」だけで比べると、私立のネット中心の学校のほうが少なくなります。詳しくは公立の通信制高校とはにまとめました。
\ 「年7〜8日なら行けるかも」と思えたら、次は会場を確かめてください /
スクーリングが少ない学校を選ぶときの3つの確認ポイント
「少ない」だけで決めると、あとで困ることがあります。次の3つを必ずセットで確認してください。
| 確認すること | なぜ大事か |
|---|---|
| ① 年間の日数 | 学年で違うことが多い。3年分を聞く |
| ② 会場の場所 | 家から遠いと、日数が少なくても通えない |
| ③ 休んだときの振替 | 振替がないと、1回休むだけで単位を落とす |
日数しか見ていませんでした。会場が遠いこともあるんですね。
そうなんです。「年7日・でも片道2時間」より「年20日・徒歩10分」のほうが通いやすい子もいます。お子さんにとってどちらが楽か、一緒に考えてみてください。
③の振替は、パンフレットに書かれていないことが多いです。説明会で「スクーリングを休んだら、振替はありますか」と必ず聞いてください。
「宿泊だけは無理」という場合
知恵袋には、「宿泊しない通信制高校はないですか」という質問が実際にあります。宿泊のスクーリングを心配する親御さんは多いです。
N高の場合、在学中に1回、本校(沖縄県うるま市)で4泊5日のスクーリングがあります(S高は茨城県つくば市で3泊4日)。ただし、公式にはこう書かれています。
住民税非課税世帯・生活保護世帯の場合、または医師の診断がある場合は、他の会場に変更できる場合があります。
出典:N高等学校 2027年度生徒募集要項(2026年9月確認)
体調や心の事情で宿泊が難しいなら、入学前に相談しておくのが一番です。「行けないかもしれない」と先に伝えておけば、学校も準備ができます。
- 何年生のときに行くのか(N高は原則2年次)
- 何泊か・交通費は誰が出すのか
- 会場を変えられる条件は何か
スクーリングに行かないとどうなる?
はっきり書きます。スクーリングに出ないと、その科目の単位が取れません。単位が足りなければ卒業できません。
| 行かなかった場合 | どうなるか |
|---|---|
| 1回だけ休んだ | 多くの学校で振替日がある(学校ごとに確認) |
| 必要な時間数が足りない | その科目の単位が認定されない |
| 単位が74に届かない | 卒業が延びる |
「スクーリングは形だけでしょう」と考えるのは危険です。卒業できない原因の上位に「スクーリングに行けなかった」があることは、どの学校でも同じです。振替の条件は学校で大きく違うので、入学前に必ず聞いてください。
「スクーリングなし」をうたう学校を見かけたら
ネットでは「スクーリングなし」と書いた広告を見かけることがあります。その多くはサポート校(高校ではない民間の教育施設)です。
サポート校に通わなくてよくても、卒業資格を出す通信制高校のスクーリングはあります。「スクーリングなし」の意味が、どちらの学校の話なのかを必ず確かめてください。仕組みは通信制高校とサポート校の違いで説明しています。
子どもが「1日も行きたくない」と言うとき、親ができること
- 「ゼロ」ではなく「年7日」と具体的な数字で話す
- 会場の場所と行き方を、地図で一緒に見る
- 宿泊が不安なら、会場変更ができるか先に聞いておく
「1日も行きたくない」という子も、具体的な日数と場所が分かると、気持ちが変わることがあります。見えない不安は大きく感じるものです。
無理にうなずかせる必要はありません。「年7日なら、どう?」と聞くだけで十分です。答えが出るまで待ってあげてください。
それでも難しい場合は、いきなり入学ではなく、まず説明会や見学で一度だけ学校に行ってみるという順番もあります。
ここまでをまとめると、「スクーリングなし」を探すより、「無理なく行ける日数と場所」を探すほうが、卒業に近づきます。
よくある質問
スクーリングなしで卒業できる通信制高校はありますか?
ありません。学習指導要領で、各教科・科目の面接指導(スクーリング)の時間数の標準が決められているためです。ネットやテレビなどの学習で最大8割まで減らすことはできますが、残りは必ず学校で受ける必要があります。
スクーリングがいちばん少ないのはどれくらいですか?
学校によって違いますが、たとえばN高のネットコースは1年次・3年次で7〜8日程度、2年次は本校4〜5日と全国の会場4〜5日です。公立の通信制高校は年20〜24日程度が一般的です。
宿泊しないで済む通信制高校はありますか?
学校によります。N高は在学中に1回、本校で4泊5日の宿泊スクーリングがありますが、住民税非課税世帯・生活保護世帯、または医師の診断がある場合は、他の会場に変更できる場合があります。入学前に相談してください。
スクーリングに行かないとどうなりますか?
必要な時間数に届かないと、その科目の単位が認定されません。単位が足りなければ卒業が延びます。休んだ場合の振替の仕組みは学校ごとに違うので、入学前に確認してください。
オンラインのスクーリングはありますか?
ネットや動画を使った学習で面接指導の時間を減らす「メディア減免」は認められていますが、全部をオンラインにすることはできません。体育のように実技が必要な科目もあります。
なぜ体育のスクーリングが多いのですか?
学習指導要領の標準で、体育は1単位あたり5単位時間(1単位時間=50分)の面接指導が求められているためです。国語や数学は1単位あたり1単位時間なので、体育がいちばん多くなります。
まとめ|「なし」はないけれど、「年7日」はある
- スクーリングなしの通信制高校は存在しません
- ネットの学習で最大8割まで減らせます
- N高なら1年で7〜8日程度
- 宿泊が難しい場合は会場変更を相談できる場合があります
今日できることは、お子さんに「年7日ならどう?」と聞いてみることです。答えが「ゼロがいい」でも、そこから話が始まります。
\ 具体的な日数と会場が手元にあると、話が一歩進みます /
N高のスクーリングの詳細はN高のスクーリングは年何日?、向き・不向きは通信制高校が向いてない人の特徴7つにまとめています。
