「通信制高校に行ったら、大学には行けなくなるのでは」。子どもの進路を考える親が、いちばん最初に気にするところです。
先に答えを書きます。行けます。通信制高校を卒業すれば、全日制と同じ「高校卒業」なので、大学を受験する資格はまったく同じです。ただし、何もしないで卒業すると、進学は遠くなります。
この記事では、国の統計で「実際どれくらい進学しているか」を確かめたうえで、高1・高2・高3のそれぞれで何をしておけばいいかを表にしました。お子さんの学年に合わせて、そこだけ持ち帰ってください。
※進学率は「文部科学省「学校基本調査」(令和7年度・卒業後の状況調査)」、入試の日程とルールは「文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026年5月27日通知)」を2026年9月に確認しました。
子どもは「大学に行きたい」とは言っています。でも、今の高校に通えなくなってしまって。
大学に行きたい気持ちがあるなら、通信制はむしろ時間を使いやすい面があります。大事なのは「いつ・何を準備するか」を先に知っておくことです。
- 通信制高校からも大学に行けます。受験資格は全日制と同じです
- 通信制卒業者の大学等進学率は28.6%(全日制等は58.4%)。差はある
- 差を埋めやすいのは総合型選抜と学校推薦型選抜。どちらも調査書(高校の成績)が使われる
- だから高1からレポートと評定を落とさないことが、いちばんの受験対策です
\ 進学を考えているなら、学校の進路サポートの中身を最初に比べてください /
結論|受験資格は同じ。差がつくのは「準備の時間」です
大学に出願できるのは、高校を卒業した人(卒業見込みの人)です。通信制高校の卒業は、全日制と同じ「高等学校卒業」です。
| 全日制 | 通信制 | |
|---|---|---|
| もらえる卒業資格 | 高等学校卒業 | 高等学校卒業(同じ) |
| 大学の受験資格 | ある | ある(同じ) |
| 大学入学共通テスト | 受けられる | 受けられる(同じ) |
| 出願で使う調査書 | 高校が作る | 高校が作る(同じ) |
つまり制度の上では、通信制だから不利になることはありません。差がつくとしたら、それは「3年間をどう使ったか」の差です。
実際どれくらい大学に進んでいる?|国の統計で確認
学校基本調査によると、令和6年度中に通信制高校を卒業した91,809人の進路はこうでした。
| 進路 | 割合 |
|---|---|
| 大学等に進学 | 28.6%(公立17.1%/私立30.0%) |
| 専修学校(専門学校)に進学 | 22.9% |
| 就職 | 14.1% |
出典:文部科学省「学校基本調査」(令和7年度・卒業後の状況調査)
全日制等の大学等進学率は58.4%なので、差ははっきりあります。ここは隠さずお伝えします。
ただし「通信制の平均」には、大学進学を目指していない人もたくさん含まれています。働きながら学ぶ大人、専門学校に進む人、まず卒業を目標にしている人です。「大学に行きたい子が、行けなかった割合」ではありません。
それに公立は17.1%、私立は30.0%と、学校の種類でも大きく違います。平均より、志望校の実績を見るほうが役に立ちます。
- 「28.6%」は通信制全体の平均
- 公立と私立で13ポイント近い差
- 見るべきは志望校の「何人中何人」
大学入試は3種類|通信制の子と相性がいいのはどれ?
いまの大学入試は、大きく3つに分かれます。日程は国の要項で決まっています(2027年4月入学の場合)。
| 入試方式 | 出願の時期 | 主に見られるもの | 通信制との相性 |
|---|---|---|---|
| 総合型選抜 | 2026年9月1日以降 | 書類・面接・活動実績 | ◎ 時間を使って活動実績を作りやすい |
| 学校推薦型選抜 | 2026年11月1日以降 | 高校の推薦・調査書 | ○ 評定が取れていれば使える |
| 一般選抜 | 2027年2月1日〜3月25日に試験 | 学力試験 | △ 自分で計画して勉強する力が必要 |
出典:文部科学省「令和9年度大学入学者選抜実施要項」(2026年5月27日通知)。大学入学共通テストは2027年1月16日・17日。
通信制の強みは「時間が自由になる」ことです。総合型選抜では、ボランティア・資格・作品づくり・留学など、高校生活でやったことが評価の材料になります。要項にも「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等」で評価すると書かれています。
ただし、どの方式でも調査書(高校の成績の記録)が出願書類に入るのが基本です。「通信制は成績が関係ない」わけではありません。
- 総合型=活動実績と面接。9月から出願
- 推薦=評定と学校の推薦。11月から出願
- 一般=学力試験。2月に試験
活動実績って、特別なことをしないといけないんですか。
そんなことはありません。資格の勉強、地域のボランティア、趣味で続けている作品づくりも立派な材料です。大事なのは「なぜそれをやったか」を話せることです。
【保存版】高1・高2・高3でやっておくこと
ここがこの記事でいちばん持ち帰ってほしいところです。お子さんの今の学年の行だけ見てください。
| 学年 | やること | 親ができること |
|---|---|---|
| 高1 | レポートの期限を守る/スクーリングを休まない/評定を落とさない | レポートの進み具合を月1回だけ一緒に確認する |
| 高2 | 興味のある分野を1つ決める/活動実績を作り始める(資格・ボランティア・作品など) | 大学のオープンキャンパスに一緒に行く |
| 高3(4〜8月) | 志望校と入試方式を決める/志望理由書の下書き | 学費と受験料の見積もりを出す |
| 高3(9月〜) | 総合型選抜の出願(9月1日以降)→推薦(11月1日以降)→一般(2月) | 出願の締切をカレンダーに書く |
- 高1は「勉強」より「期限を守る」が大事
- 高2の活動実績が、高3の総合型選抜の材料になる
- 高3の9月にはもう出願が始まる
高1は「期限を守るだけ」でいいんですか。
はい、実はそれが一番大事なんです。レポートが止まると単位が取れず、評定も付かず、推薦の材料が消えます。逆に期限さえ守れれば、評定はついてきます。
通信制の子が進学でつまずきやすい3つのポイント
| つまずき | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
| レポートが止まる | 単位が取れず、評定がつかない | 伴走してくれる学校を選ぶ |
| 進路を考え始めるのが遅い | 高3の9月に出願が間に合わない | 高2のうちに志望分野を決める |
| 受験勉強を1人で抱える | 一般選抜の対策が手薄になる | 学校の進学講座・予備校との併用を確認する |
テストの仕組み(レポートとスクーリングを終えないと受けられない)は通信制高校のテストは難しい?で解説しています。進学の土台は、ここにあります。
\ 学校によって進学実績はまったく違います。数字を並べて比べてください /
学校選びで聞いておきたい5つの質問
| 質問 | なぜ聞くのか |
|---|---|
| 昨年度の大学合格者数は、何人中何人ですか | 実績の「分母」を確かめるため |
| 総合型選抜・推薦で合格した人はどれくらいですか | 方式別の強みが分かる |
| 指定校推薦の枠はありますか | 学校によって大きく違う |
| 志望理由書や面接の対策はありますか | 総合型選抜の準備に直結 |
| 評定はどのように付きますか | 推薦に使えるかどうかが決まる |
指定校推薦は、学校によって公開のしかたが違います。たとえばクラーク記念国際高校は主な約100大学を公開していますが、N高・S高は一覧を公開していません。
1つ目の「何人中何人」がとくに大事です。合格者数だけでなく、卒業生の人数を一緒に聞くと、実績の意味が分かります。
- 「何人中何人」が合格したか
- 方式別(総合型・推薦・一般)の内訳
- 評定の付き方
よくある質問
通信制高校から大学に進学できますか?
できます。通信制高校の卒業は全日制と同じ「高等学校卒業」なので、大学の受験資格も大学入学共通テストの受験も全日制と同じです。
通信制高校の大学進学率はどれくらいですか?
学校基本調査によると、令和6年度中の通信制卒業者の大学等進学率は28.6%(公立17.1%・私立30.0%)です。全日制等の58.4%より低いですが、通信制には大学進学を目指していない人も多く含まれています。
通信制高校から大学に行くのは難しいですか?
制度上の不利はありません。難しくなるのは、レポートが止まって評定がつかない、進路を考え始めるのが遅い、といった準備の問題です。高1からレポートの期限を守ることが一番の対策になります。
どの入試方式が通信制の子に向いていますか?
時間を使って活動実績を作りやすいので、総合型選抜と相性がいいことが多いです。ただし総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜のどれでも、調査書(高校の成績の記録)が使われるのが基本です。
総合型選抜の出願はいつからですか?
2027年4月入学の場合、文部科学省の要項で出願は2026年9月1日以降、結果の発表は11月1日以降と決まっています。学校推薦型選抜の出願は11月1日以降です。
通信制高校でも指定校推薦はありますか?
学校によります。クラーク記念国際高校は約320大学・1,400超の枠があると公表しています。N高・S高は一覧を公開していません。志望校に直接確認してください。
予備校と併用したほうがいいですか?
一般選抜で難関大学を目指す場合は、併用している人もいます。時間の自由がきく通信制は、予備校との併用がしやすい面があります。学校の進学講座の中身を先に確認してください。
まとめ|大学への道は閉じていない。開けておくのは「高1の期限」
- 受験資格は全日制と同じ
- 通信制卒業者の大学等進学率は28.6%。平均より志望校の実績を見る
- 通信制と相性がいいのは総合型選抜
- いちばんの対策は高1からレポートの期限を守ること
今日できることは、上の「学年別の表」のお子さんの学年の行を、スマホで撮っておくことです。それだけで、次に何をすればいいかが手元に残ります。
\ 進学サポートの中身を、実際の資料で確かめてください /
N高の進学実績はN高で大学進学は不利?、卒業後の進路全体は「通信制高校で人生終わり」は本当かにまとめています。
