学校に行けなくなった子の居場所として、よく名前が挙がるのがフリースクールです。高校生の子を持つ親御さんからは、「高校生でも通えるの?」「通えば卒業できるの?」という質問をよくいただきます。
先に答えを書きます。高校生も通えるフリースクールはあります。ただしフリースクールに通っても、高校の卒業資格はもらえません。さらに、高校に在籍したまま通っても、単位にはつながらないのが原則です。
この記事では、文部科学省の通知の原文と国の委託調査(2025年3月)をもとに、フリースクールと高校の関係を整理しました。
※通知は「文部科学省「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について」(2009年3月12日)」、施設の実態は「「不登校のこどもを受け入れている民間施設等の利用実態等の把握に関する調査研究 報告書」(令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業・2025年3月)」を2026年9月に確認しました。
高校に行けなくなった息子を、フリースクールに通わせようかと考えています。卒業のことはどうなるんでしょう。
そこが一番大事なところです。フリースクールは「居場所」、高校は「卒業資格をもらう場所」と分けて考えると、選び方が見えてきますよ。
- 高校生を受け入れているフリースクールは約7割(中学生は約9割)
- フリースクールでは高校卒業資格は取れない
- 高校に在籍したまま通うと「出席扱い」にできる場合があるが、単位の出席とは別
- 卒業資格がほしいなら通信制高校と組み合わせるのが現実的
\ フリースクールと組み合わせやすい通信制高校の仕組みを、資料で見てください /
高校生もフリースクールに通える?受け入れは約7割の団体
2025年3月にまとめられた国の委託調査では、全国の民間施設・団体(832団体)に、どの学年の子を受け入れているかを聞いています。
| 学年 | 受け入れている団体の割合 |
|---|---|
| 中学1年生 | 90.7% |
| 中学2年生 | 90.9% |
| 中学3年生 | 90.0% |
| 高校生 | 67.5% |
出典:「不登校のこどもを受け入れている民間施設等の利用実態等の把握に関する調査研究 報告書」(令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業・2025年3月)(図表39)
高校生も、3団体に2団体くらいは受け入れています。ただ、同じ調査では自治体から「高校生対象の民間施設が少ない」という声も上がっています。中学生に比べると、選べる数は少なめです。
探すときは、「高校生の受け入れ」「年齢」を最初に確認してください。中学生向けの施設が中心のところも多いです。
フリースクールでは高校卒業資格は取れない
フリースクールは、学校教育法で定められた「学校」ではありません。民間の団体が運営する、学びや居場所の場です。
| フリースクール | 高校(全日制・定時制・通信制) | |
|---|---|---|
| 法律上の位置づけ | 学校ではない | 学校教育法の「学校」 |
| 高校卒業資格 | もらえない | もらえる |
| 就学支援金 | 対象外 | 対象 |
| できること | 居場所・学び・相談・体験 | 授業・単位・卒業 |
「フリースクールで3年過ごしたら高卒になる」ということはありません。高卒の資格がほしい場合は、高校に在籍して卒業するか、高卒認定試験に合格する(ただし学歴は高卒にならない)必要があります。
高卒認定の仕組みは高卒認定試験とは?で詳しく解説しています。
高校に在籍したまま通うと「出席扱い」になる?単位にはならない
「フリースクール 出席扱い 高校」と検索する方もいます。ここは文部科学省の通知に決まりがあります。
「不登校生徒が学校外の施設において相談・指導を受けるとき、下記の要件を満たすとともに…有効・適切であると判断される場合に、当該生徒の在籍校の校長は指導要録上出席扱いとすることができる。」
出典:文部科学省「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について」(2009年3月12日)
| 要件(通知より) | 中身 |
|---|---|
| ① | 保護者と学校との間に十分な連携・協力関係が保たれていること |
| ② | 施設は原則として教育支援センターなどの公的機関。難しい場合は民間施設も考慮されてよい |
| ③ | 施設に通所または入所して相談・指導を受けること |
ここまでは、中学生と同じような仕組みです。ところが、高校生の通知には大事な一文が続きます。
「この指導要録上の出席扱いは、科目の履修の認定に当たって考慮される授業への出席とは異なるものであり、科目の履修の認定に当たっては、在籍校における履修要件に照らして適切に行うよう留意すること。」
出典:文部科学省「高等学校における不登校生徒が学校外の公的機関や民間施設において相談・指導を受けている場合の対応について」(2009年3月12日)
- 「出席扱い」になっても、授業に出たことにはならない
- 欠課時数は減らないので、単位は取れない
- 高校のままフリースクールに通い続けると、留年の心配は残る
出席扱いになれば大丈夫だと思っていました……。
ここはとても誤解されやすいんです。中学校は出席日数が少なくても卒業できるのが一般的ですが、高校は単位が必要です。だから高校生の場合は、「どこで単位を取るか」を別に考える必要があります。欠課時数と単位の関係は高校は何日休むと留年?で詳しく書いています。
中学生がフリースクールに通っても、高校受験はできる?
できます。中学生(義務教育段階)の場合は、一定の要件を満たせば、フリースクールに通った日を出席扱いにしたり、学習の成果を成績評価に反映したりできると文部科学省が示しています。
出典:文部科学省「不登校児童生徒の出席扱い・成績評価について」(義務教育段階・2026年4月)
| 中学生 | 高校生 | |
|---|---|---|
| 出席扱い | 要件を満たせば可能 | 要件を満たせば可能 |
| 成績への反映 | 要件を満たせば可能 | 単位の出席とは別 |
| 卒業 | 中学校は卒業できる | 単位がないと卒業できない |
高校受験では、出席扱いになっているか・成績がついているかが調査書に関わります。中学校の先生に「フリースクールの日を出席扱いにできますか」と早めに相談してください。受験ルートは不登校でも高校受験はできるにまとめています。
フリースクールの費用はいくら?
費用は施設によって大きく違います。国の委託調査には、こんな記述があります。
| 調査で紹介された例 | 費用 |
|---|---|
| 料金の幅 | 無料の団体から、入会月で最大11万円(1か月あたり)の団体まで |
| ある団体 | 入会金33,000円/利用料 月33,000〜35,000円(拠点による) |
| 別の団体 | 入会金55,000円/週1・2日 月35,000円・週3・4日 月45,000円・週5日 月50,000円 |
出典:「不登校のこどもを受け入れている民間施設等の利用実態等の把握に関する調査研究 報告書」(令和6年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業・2025年3月)
フリースクールは学校ではないので、就学支援金は使えません。高校に在籍しながら通う場合は、高校の学費+フリースクールの費用の両方がかかります。調査でも、利用料が理由で通うのをあきらめる保護者がいることが課題として挙げられています。
卒業資格がほしいなら|通信制高校と組み合わせる
「居場所」と「卒業資格」の両方がほしい場合、現実的なのが通信制高校に在籍しながら、フリースクールにも通うという形です。
| 組み合わせ | 居場所 | 卒業資格 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 全日制に在籍+フリースクール | ○ | 単位が取れず危ない | 二重 |
| 通信制に在籍+フリースクール | ○ | 通信制で単位を取れる | 二重(通信制は支援金の対象) |
| 通信制だけ(通学コースを使う) | △(学校による) | 取れる | 1本 |
通信制はレポートとスクーリングで単位を取るので、毎日の授業に出る必要がありません。フリースクールで過ごす時間と両立しやすいのが強みです。学校によっては、通学コースやキャンパスが「居場所」の役割を兼ねることもあります。
\ 「居場所」と「卒業資格」を1つの学校でそろえられるかも、確かめてみてください /
【保存版】フリースクールを考えるときに確認すること
| 確認すること | 誰に | |
|---|---|---|
| ☐ | 高校生を受け入れているか・対象年齢 | フリースクール |
| ☐ | 入会金・月額・通う日数ごとの料金 | フリースクール |
| ☐ | 在籍中の高校で「出席扱い」にできるか | 高校の担任・校長 |
| ☐ | 単位はどうなるか(欠課時数の見通し) | 高校の担任 |
| ☐ | 通信制に移る場合の締切 | 通信制高校 |
高校生の不登校全体の考え方は高校生の不登校、このままだとどうなる?にまとめています。
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よくある質問
高校生でもフリースクールに通えますか?
通えます。2025年3月にまとめられた国の委託調査では、回答した832団体のうち67.5%が高校生を受け入れていました。中学生(約9割)に比べると少ないので、対象年齢を確認してください。
フリースクールで高校卒業資格は取れますか?
取れません。フリースクールは学校教育法の「学校」ではないためです。高校卒業資格がほしい場合は、通信制高校などに在籍して卒業するか、高卒認定試験に合格する必要があります(高卒認定では学歴は高卒になりません)。
高校に在籍したままフリースクールに通うと、出席扱いになりますか?
要件を満たし、校長が有効・適切と判断すれば、指導要録上の出席扱いにできます。ただし文部科学省の通知では、これは科目の履修の認定で考える授業への出席とは異なるとされており、単位の取得にはつながりません。
中学生がフリースクールに通っていても高校受験できますか?
できます。義務教育段階では、一定の要件を満たせば、フリースクールに通った日を出席扱いにしたり、学習の成果を成績評価に反映したりできます。中学校に早めに相談してください。
フリースクールの費用はどれくらいですか?
施設によって大きく違います。国の委託調査では、無料の団体から入会月で最大11万円の団体までありました。紹介された例では、月33,000〜50,000円程度の団体がありました。就学支援金は使えません。
フリースクールと通信制高校は両立できますか?
できます。通信制高校はレポートとスクーリングで単位を取るので、毎日の授業に出る必要がありません。フリースクールを居場所にしながら、通信制で卒業資格を目指す家庭もあります。
まとめ|フリースクールは「居場所」、卒業資格は「高校」で
- 高校生を受け入れるフリースクールは約7割
- フリースクールでは高校卒業資格は取れない
- 高校生の「出席扱い」は単位の出席とは別
- 卒業資格がほしいなら通信制と組み合わせる
今日できることは、「居場所」と「卒業資格」のどちらを先に確保したいかを、家族で話してみることです。両方ほしいなら、通信制とフリースクールの組み合わせが候補になります。
\ 卒業資格の道を1つ確保しておくと、居場所選びに集中できます /
